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今日は現場で音響テストをして来ました。

床板選びから偶然、問題点に気付き、手遅れにならないうちに手を打たんと知恵を絞り、材料を色々と変えては独自に考案した模型でのテストを繰り返し
…やっと選んだ材料が発注の段になって在庫が全く無かったり…
しかし諦めずに再度、今度は設計室のメンバーが提案してくれた別の材料をいくつかテストした中から、入手出来なかった初期案の材料を凌駕する素材が見つかりました。その材料に合わせて、仕上げの床板も変更したりしました。
その材料 X をホールの全面に貼るにあたって、これも小さなモデルでの実験から、天井と壁、床とでは利用の仕方に変化をつける等、実験を繰り返しては最善と思われる方法を細かく選びました。
ただ所詮、それは小さなモデル実験での成功でしたので、正直100%の安心は得られず、内心不安でいっぱいでした。
しかしどんな不安にも結末はやって来る!
その実験結果が正しいかどうかを確かめる日がやって来てしまいました。軌道修正が必要なら、まだギリギリ工事的には余地がある時期ではあります。でも正直、私自身がこれより良い案がもはや浮かばない状態だったので、うまく行っておくれよ、ともはや半分神頼みでした。
夕方6時。職人さん達の頭が「しまいだよ!」と大工さん達に声をかけ、ホールが静まったところでテストを始めました。
作業の粉塵の残る曇った空間で調弦を始めた瞬間から、「おや?」と、寒さに強張る筋肉が柔らかくリラックスします。
深さと輝きを兼ね備えた音空間。小ホールの魅力である、肌にふれるような音の身近さと、音楽ホールに求めたい、余韻が香りながら消えるような、まろやかな残響。
あら⁉期待以上!期待以上!
高まる気持ちを抑え、冷静に色んな曲を試してみます。
細かなニュアンスが活かされるか。奏者を精神的に後押しする、音滑りの良さは本物か。原色、パステル、筆、ペン、どんなラインで音を出してもそれがクッキリと表現できるか。音を愛する人達に愛される空間になり得るのか…
最後に私は自分の楽器を肩から降ろし、「いいんじゃないですか?すごく。」と施工会社の社長さんと設計室の方々に頷きました。
「良かった〜‼」
皆さんの顔が明るく崩れます。「良かった。やっと安心して寝れる。」と胸を撫で下ろす人も。
いやぁ、本当に。良かったです。人生で一番、肩の荷がおりた日でした。
音は建築を更に進めれば、また変わるでしょう。しかし今日、目で進み具合を確認し、耳で音を確かめた限り、今日をベースにその変化は良い方に向かう変化だと思えました。
現場の皆さん、初めての工法、型破りな材料と注文に、不平一つ言わず、私の耳を信じて協力して下さって、本当にありがとうございました。
最後に…期待以上じゃない?と呟きながら、久しぶりに安らかに眠りたいと思います。