» 2015 » 11月のブログ記事

先日、両親が一時帰国した際、地元の高知の家から持ってきてくれたものがあります。
靴の裏底も皮で出来た、アルゼンチン産のパンプス。デザインは今っぽくはないし、年季は入っているけど、いたみは無く、履きやすそうで好きなデザイン。
「履く?入るなら、、、」と母。
足を入れてみて、ちょうど良いくらい。歩いてみて、大丈夫。繰り返し足を入れられて少し変わったフォルムがまた、ピッタリ。さすが家族だわ。
「うん。ありがとう。じゃあもらう。」
私が高校生の頃、母がビシッと決めた時、馬の毛で緻密に編んだ真っ黒なハンドバッグとその靴を合わせていたような気がします。アルゼンチン産ということで、両親がアルゼンチンを訪れていた事も知っていたので、
「これ、長寿だね。アルゼンチンで買ったの?」と聞くと、母がブルブルブルと首を振り、
「違うのよ。これ愛子さんのなのよ。」
思わず絶句する私。愛子さんとは私の祖母。祖母の時代のもの?一体何年前?靴底まで革張りのアルゼンチン産のパンプス?しかも保存状態良好。なおかつ、その時代の人の足のサイズが現代人の私の足に馴染む???、、、何故だらけ。
「えぇ〜‼︎」
「凄!ていうか何でサイズピッタリ?」
一通り驚きが過ぎ去ると、しみじみと祖母のことを思いました。祖母は私が3、4歳の時、病気のため50歳の若さで亡くなりました。私は当時グァテマラに住んでおり、一時帰国して祖母の危篤の枕元に立ち、葬儀に立ち合ったと記憶しています。それ以前は九州と四国で離れて暮らしていたため、祖母の記憶は多くはありません。写真に見る祖母は大変美しい、気の強そうな女性です。
しかし靴の中に残っているのは、祖母、愛子さんの何か生身の姿をかたどったもの。私たちは血のつながりがあり、同じ構成内容を持っている。これ以上ない圧倒的な語りかけです。
「私はあんまり履かなかったけど、これだけはずっと捨てられなくて。。」
と母。
私はホールの貸出で管理人として働く際は、この愛子さんの靴を履くことにしました。今日はホールを発表会で使うお客さまがいらっしゃいます。今朝、靴箱から祖母のパンプスを出した際、やはり祖母のことを考えずにはいられず、思わずブログにアップした次第です。

こんにちは!寒暖の差の激しい日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
気がつけば、今年最後のミエザホールでのコンサートを迎えようとしています。あっという間だったなぁ。と感じる反面、夏の出来事が今年の事とは思えないほど遠く感じたりと、今年は今までに無い体験を沢山して、体内時計がビックリする程、盛り沢山な年でした。
また、23日の勤労感謝の日には息子とこれも初体験の、味の素スタジアムでの「親子マラソン」にエントリーしています。高校生の時に師事したヴァイオリンの先生に「演奏家はね、1に体力2に体力、3、4が無くて5に体力なんだよ。」と言われましたが、母ちゃん稼業と合わせ、その言葉を実感する日々です。

さて、今年最後のライブでは、水月さんとスペインの民謡を題材としたファリャや、生き生きとした村の祭を連想させるサラサーテや、チャイコフスキーを演奏します。
ファリャの今回の作品のベースとなっている民謡の歌詞たるや、実に意味深かつ、思わず唸らせられるような見事な愛憎&したたかさの描写で、先日のリハーサルでは女性を代表して、水月さんと二人で、つれない優男の去り際の歌詞にツッコミを入れまくっておきました。
チャイコフスキーはチャイコフスキーで、美しくも身勝手な悩みが迸る「瞑想曲」をはじめとした、「懐かしい土地の想い出」と、この小品集を雛形として作られたヴァイオリン協奏曲を、どこかプライベートな感傷を含んだムードで演奏したいというのが、今回の企てです。
人間の心のドロドロや、やらかし体験を、美しい音の世界に閉じ込めた魔術師達の作品を、ぜひ、楽しみに聴きにいらして下さい!


橋口瑞恵


「 酸いも甘いも歌いわけて!」

Vl. 橋口瑞恵 Pf. 水月恵美子

12月12日(土)
開場 15:30 開演 16:00
前売 3,500円 当日 4,000円

ご予約
042-366-6316 (ミエザホール)
mieza@mieza.jp. (ミエザホール)

Program

マニュエル・デ・ファリャ作曲
「7つのスペイン民謡」より
・ムーア人の服地
・ナナ (子守唄)
・カンスィオン (歌曲)
・ポロ
・アストリアの唄
・ホタ

サラサーテ作曲
・ホタ ナバラ Op.22 No.2

チャイコフスキー作曲
「懐かしい土地の想い出」Op.42より
・瞑想曲
・スケルツォ
・メロディ

チャイコフスキー作曲
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
第1、第2、第3楽章